妊娠してお腹の赤ちゃんが大きくなるにつれて体の体型が変わり始めると、今まで経験したことのない症状が出てきます。その1つが、今回紹介する坐骨神経痛です。
妊婦健診で先生に相談すると「妊婦さんにはよくあることで、坐骨神経痛ですね。」と言われる妊婦さんも多いです。
しかも、これといったアドバイスもなく「しばらく様子を見ましょう」と言われて、当院へ来院される患者さんが多いです。
ただでさえ、「こんなに痛いのに、お腹の赤ちゃんに影響がないの・・・?」と不安になっている妊婦さんが出産に集中して向き合えるために坐骨神経痛に悩まなくてもいい情報を書いていこうと思います。
この記事の内容 |
1 妊婦さんに多く起こる坐骨神経痛の症状は? |
2 なぜ、妊婦さんに坐骨神経痛が出やすいのか? |
3 妊娠中の坐骨神経痛の治療と対処法とは?
3-1 妊婦さんがしてはいけない坐骨神経痛の治療 3-2 妊婦さんが坐骨神経痛のためにストレッチするのはいいの? 3-3 坐骨神経痛の妊婦さんの適切な対処方法 3-4 妊婦さん必見!坐骨神経痛の痛みを和らげる寝方 3-5 骨盤ベルト(トコちゃんベルト)はまぁまぁ使えます。 |
4 妊娠中の坐骨神経痛は出産後に改善するの? |
1 妊婦さんに多く起こる坐骨神経痛の症状は?
人によって痛みや痺れなどの程度の違いはありますが、日常生活に支障が出ている方が多いです。
● 歩こうにも、お尻から太ももにかけて痛くて歩けない。
● 起き上がるにも、少し体を動かすだけでビキッとした痛みで起き上がるのにも苦労する。
● 座っていてもお尻の奥が痛くて、横になってもズキズキと疼いて楽な姿勢がない。
● お腹が大きくなって更に腰に負担がかかって、痛みで立つことも出来ず這いつくばってトイレに行く。
多くの人が、はじめの痛みは我慢できるけど、ドンドン痛みが強くなってから来院されます。
痛みが強くなるってことは、それだけ体が傷ついているので、治るのにも治療回数はもちろん、時間とお金が余計にかかってしまいますので、我慢ができるうちに治療をすることが治る近道です。
2 なぜ、妊婦さんに坐骨神経痛が出やすいのか?
坐骨神経痛というと腰部椎間板ヘルニアが原因と言われますが、妊婦さんの場合はそれ以外に原因があります。
① リラキシンというホルモンの影響で坐骨神経痛になる。
妊娠初期からお母さんの骨盤を緩めるために女性ホルモン「リラキシン」が活発に分泌されます。
このリラキシンは出産まじかに骨盤だけを広げる時だけに働けばいいのですが、骨と関節をつないでいる「関節包や靭帯」を緩めてしまいます。
当然、関節を固定する関節包や靭帯がゆるめば、身体の関節がグラグラと不安定になります。
そして、骨盤以外にもすべての関節にも作用するため、股関節や膝関節、恥骨などの関節が緩くなります。
その結果、グラグラした状態で生活をしていくため、それを支えようと筋肉が硬くなってしまってい神経を圧迫するようになるので坐骨神経痛が出るわけです。
② お腹が大きくなることで、腰が反るようになって神経を圧迫する。
妊娠の中期から後期になりますと、お腹が大きくなってきます。それに伴って腰が反るような姿勢になります。
具体的に言うと、腰椎の前弯が強くなって、骨盤が前傾します。
さらに、妊娠中期~後期においてもリラキシンが分泌されるため、靭帯のゆるみもダブルパンチとなり、腰を反ることで腰椎で坐骨神経を圧迫するため坐骨神経痛で出てしまいます。
この2つの原因が妊婦さんに坐骨神経痛が多い理由です。
リラキシンが分泌される、そして、お腹が大きくなって腰が反るような姿勢になってしまうのは自然な流れなのでどうすることも出来ない反応なのです。
だからといって、坐骨神経痛の激痛に耐え続けなければならないのは、大変なストレスです。
では、どうすればいいのか? 坐骨神経痛の専門家として説明していきます。
3 妊娠中の坐骨神経痛の治療と対処法とは?
3-1 妊婦さんがしてはいけない坐骨神経痛の治療
① 痛い所を中心にマッサージ
② 足やお尻のストレッチ
③ 腰を捻っての骨盤矯正
④ 腰の牽引治療
この4つの治療は、妊婦さんは避けなければいけない治療方法になります。
多くの病院や治療院で一般的に行われている治療ですが、妊婦さんには負担が強すぎるし、お腹を圧迫してしまうのでおススメはしません。
3-2 妊婦さんが坐骨神経痛の改善のためにストレッチするのはいいの?
マタニティヨガや安産体操など、出産に向けてお産がスムーズに進むように行っているママさんも大勢いますよね。
ですが、坐骨神経痛を改善するためにそれらを行うことはまったく効果がありません。
多くの人は坐骨神経痛になると痛い所を伸ばして、早く治そうとします。
はっきり言って、痛いのを我慢して伸ばしたところで筋肉は緩みませんし、火に油を注ぐようなものです。
余計に坐骨神経が興奮して痛みがひどくなります。
坐骨神経痛を改善するためにストレッチを行う場合は、必ず専門家に相談してください。
3-3 坐骨神経痛の妊婦さんの適切な対処方法
坐骨神経痛を引き起こしている原因は背骨と骨盤の歪み、筋肉の緊張があります。
それら、2つを同時に治療しないといけません。
来院される妊婦さんの方の多くが重症なので、原因となっている箇所を正確に見つけることが重要で、治るスピードが大きく変わってきます。
もう一つ、重要なことがあります。
坐骨神経痛の妊婦さんは、肩の筋肉やふくらはぎの筋肉が非常に硬くなっています。
坐骨神経はお尻の奥にあって、梨状筋(りじょうきん)の下を通っていますが、この梨状筋が硬くなっているからといって、この筋肉を刺激してしまうと症状が悪化するので止めときましょう。
なので、坐骨神経痛とは関係ないと思っている肩やふくらはぎの筋肉を緩めるストレッチをおススメします。
<坐骨神経痛の妊婦さんに効果的な肩のストレッチ>
① 肘を90℃に曲げて、肩の位置まで上げます。
② 反対の腕を曲げた肘に掛けます。
③ 掛けた腕で、肘を自分の体の方向に引きます。
すると、肩の後ろが伸ばされている感じがあると思います。
そのまま、気持ちが良いと感じるまで伸ばしていきます。
※ 左右とも3~5回を約10秒くらい行ってください。
注意:ストレッチ中にお腹が張ってきたり、気持ちが悪くなった場合は直ぐに中止してください。
<坐骨神経痛の妊婦さんに効果的なふくらはぎのストレッチ>
① タオルを足の裏に引っかけます。
② 両手でタオルの端をもって、ゆっくりと引っ張ります。
すると、ふくらはぎの筋肉が伸びているのを感じると思います。
そのまま、気持ちが良いと感じる所まで引っ張ってください。
※ 両足とも3~5回を約10秒くらい行ってください。
注意:ストレッチ中にお腹が張ってきたり、気持ちが悪くなった場合は直ぐに中止してください。
3-4 妊婦さん必見!坐骨神経痛の痛みを和らげる寝方
妊娠後期になってくると、お腹がどんどん大きくなって上向きで寝にくくなります。
無理に上向きで寝なくても大丈夫です!
注意してもらいたいことは、寝る時に、痛い方を下にしないこと。
例えば、右のお尻や右足に痛みや痺れている人は、右側を上にして寝るようにしましょう。
坐骨神経痛は神経が圧迫されると症状がきつくなるので、痛みや痺れを感じている方を下にすると治りにくくなってしまいます。
中には、下にして寝た方が楽だという方もおられますが、それは坐骨神経を圧迫すると神経が一時的に麻痺することで痛みが止まっているだけで、また、麻痺がなくなるとジワジワと痛みがぶり返してきます。
寝方の注意としては、同じ体勢で寝続けないということです。
痛くてつらい時こそ、同じ姿勢で寝るんじゃなくて、ゴロゴロと寝返りをしてください。
結果として、早く良くなります。
妊婦さんにとって楽な寝方は・・・
横向き編
横向きで頭と背骨が真っ直ぐな状態で寝ることです。抱きマクラがあればいいですね。
頭や上側の足が下に下がらないように寝て下さい。
上向き編
膝の下にクッションでも座布団でも構いませんので、入れて寝て下さい。
ある程度、高さがある方が快適です。
3-5 骨盤ベルト(トコちゃんベルト)は使えます。
トコちゃんベルトをして楽になるのなら使いましょう!
正直、使ってみないことにはわかりませんが、当院へ来院されている妊婦さんのも使って効果があった人、まったく効果がなかった人は半々です。
5分5分なんで、一度、ためしてもいいと思います。
ただし、まったく効果がない人は、お腹を圧迫して血流が悪くならないように注意が必要です!
4 妊娠中の坐骨神経痛は出産後に改善するの?
多くの妊婦さんが疑問に感じていると思います。
出産後から育児が始まるし、痛いままだったらどうしよう?と不安ですよね。
答えは、出産後に改善することはありません(T_T)
当院に来院される妊婦さんで、妊娠中の坐骨神経痛が、出産後も続いている人の方が多いのです。
妊娠中の坐骨神経痛は早期に治療をした方が早く改善する方が多いです。
この記事で、紹介した間違った対処をしていたり、ご自身で色々ためしても効果が感じられない方は今すぐ中止して妊婦さんでも坐骨神経痛を治すのが得意な治療院に電話してください。
一人一人、坐骨神経痛の原因が違うので、それを正確に見極めることが出来る治療院に出会えることが重要になります。